セレンディピティの洞窟

ふと浮かび上がった仮説のメモ

チャンピオン

年末、22時か、23時ぐらいに目が覚めた。テレビでは紅白歌合戦が終盤で、チャンネルを適当にザッピングしていると、ボクシング内山高志選手の試合がやっていた。去年末に負けた相手との再戦だった。ところが内山選手は同じ相手に連敗してしまう。これはもう引退してしまうのかもしれない、と思った。

 

というのも、この選手が今まで負けているところを前回の敗戦まで見たことがなかったからだ。実際、負けてなかったのだと思う。だから前回の負けには衝撃を受けた。ちなみに私はボクシングに詳しいわけではない。テレビで特番が組まれるレベルの試合をたまに見ることがある程度。なので専門的なことはわからない。
 
ただ世界中にごまんといるボクサー人口の中で、チャンピオンになれるのは、ほんのひと握りなのは事実である。そして内山選手はチャンピオンになってからも10回以上防衛している筋金入りのチャンピオンだった。
 
いち素人の意見としては、「強さ」とは別に「相性」というのがあって、ボクシング・スタイルの相性が悪すぎた場合、「強さ」の差を凌駕して勝てないのではないのかと思ったのだ。
 
内山選手は間違いなく強い。でもあまりに相性の悪い相手と当たってしまった。だから負けた、という仮説である。この仮説を前提に話を進めると、内山選手は「何度も防衛したチャンピオン」になれただけ幸運なのだと思う。
 
仮に、プロデビューして間も無く、非常に相性の悪いボクサーと立て続けに何度も当たって連敗したとする。すると、どんなに練習しても勝てない、自分は弱いのかもしれない、と思ってしまうだろう。そこで諦めてしまえば、芽が出る前に引退することになる。続けていれば、その後チャンピオンになる可能性だってあるかもしれないのに。
 
キャリア序盤で相性の悪い相手に連戦連敗したら、歴史に名を刻むチャンスを失ってしまうってこともあり得るんじゃないか。なんてことを、この年末の試合を観て感じた。
 
でも、相性を凌駕するほど強くないとチャンピオンにはなれないんだろうな、というのが本音である。