セレンディピティの洞窟

ふと浮かび上がった仮説のメモ

面接

企業は、自社の利益になるであろう人材を採用する。ただ、採用側は「こいつ利益を上げそうだな」というところまでしか判断できない。ただし利益を伸ばしていけるかどうかを知っている人間は、未来人だけである。
 
現在を生きるわれわれは、予測で採用するほかない。かといって、採用することによって損失を被るリスクは減らしたい。だから過去の実績を見て判断する。役に立つのが「職務経歴書」「履歴書」などのデータである。
 
職務経歴で実績のある人はリスクが低いから採用されやすい。一方で新卒には職務経歴がないため、「履歴書」のみで判断することになる。学業の合間に、「(自社の)利益につながりそうな活動をしていた」という記述でもあれば別だが、基本的には高学歴であるほど能力があると判断されやすい。
 
企業は、本人を示すデータ(「履歴書」や「職務経歴書」など)から、自社にとって利益になる人材かどうかを吟味する。でもそれだけでは信ぴょう性が低い。やはり面接で本人と直接会って、会話の中から人間性を見極めていく作業が必要だ。これまで本人がやってきた実績に偽りはないか。信用に足る人間か。社是に共感できる人間性を持ち合わせているか。そのへんを確認することになる。
 
実績があっても、社是に共感できない人間を採用するのは控えるべきだ。長期的にみると利益にならないことが多い。たとえば「努力」を社是とする会社に採用された人材が、要領よく仕事をこなしながら現状維持で満足していたら、それを見た後続も努力を怠る。その結果、社是という会社の根幹が揺るがされてしまうのだ。
 
以上のことから、採用する人材に求めるのは、「社是(企業理念)に共感できて、その上で能力を発揮できる人」ということになる。なので、たとえ零細企業であってもしっかりと社是を設定しておく。それが価値観を一にした人材を集める秘訣であり、会社のシステムを円滑に回す秘訣である。